第13回かわごえ環境フォーラム(詳報)

【この記事は、月刊 かわごえ環境ネット 2015年4月号 No.102に掲載されたものです】

 3月号に続き、2月21日に開催された第13回かわごえ環境フォーラムの詳報をお伝えします。本号では午後の粂原恒久先生の基調講演と「かわごえカフェ2015」をおしらせします。

基調講演「小江戸川越ものがたり」(粂原恒久先生 蓮馨寺住職・公益社団法人小江戸川越観光協会会長)

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粂原恒久先生

川越市について
 地理的には武蔵野台地の北端にあり、縄文のころから人が住み着いていて貝塚もあった。武士の時代には太田道灌が川越城を築き、上杉氏、北条氏が支配していた。やがて江戸時代になると川越は江戸を守る要所とされ、歴代藩主は徳川幕府の要職にある大物が務めた。このような背景で文化や歴史が醸成されてきた。「小江戸」という意味合いは江戸の文化を伝えるということである。
蓮馨寺の来歴
 この寺は「呑龍さま」や「おびんずる様」の寺として広く市民に知られ"小江戸の心のふるさと"といわれている。大道寺政繁が川越城主であったころ、その母である蓮馨大姉が感誉上人を招いて開山したのが蓮馨寺の始まりである。
川越の観光
 川越には今、年間約650万人にのぼる観光客が訪れる。さいたま市からの400万人が一番多く、次いで練馬区、板橋区と続く。最近は外国からのお客さんも増えている。平均の滞在時間は3時間ほどで消費は3,000円位。観光のエリアも蔵造り通りを中心とする中央通りに集中している。ちなみに中央通りは昭和8年に蓮馨寺が寺領を県に上納することで開通できた。近々「ウェスタ川越」が完成し街の賑わいが拡がる。これも川越の活性化につながるであろう。
(記録:賀登環)

かわごえカフェ2015「自然と調和する小江戸川越まちづくり」

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かわごえカフェ2015の様子

 「かわごえカフェ2015」には、おおよそ90名の方にご参加していただきました。
 1テーブル4名ほど座って頂き、相手を変えながら3回ほど話をしていただくことで、あたかも全員と話したかのような共有感を持つことができるのがこのかわごえカフェの特長です。しかも、お茶やお菓子を食べながら、リラックスして話すことで、アイデアが出やすい雰囲気を創ります。
 かわごえカフェ2015のテーマは、「自然と調和する小江戸川越まちづくり」です。
 自然との調和とありますが、ここでいう"自然"とは、自然環境、文化、歴史、食文化、人、精神性など、地域が育んできた万物、森羅万象を表します。この解釈のもと、かわごえカフェ2015では、川越のよいところを再認識し、案内したいところを話し合い、案内コースを作ることをめざしました。
 1回目の話し合いの問いは、「川越のいいところってどんなところですか?」、メンバーを変えて2回目の話し合いの問いは、「市外の人に紹介するとしたら、川越のどんないいところを案内したいですか?」、最後の話し合いの問いは、
「川越のいいところを2,3盛り込んで案内ツアーコースをつくる場合(半日コース)、どんなツアーを作って紹介したいですか?」としました。
 話し合いは、それぞれ25分ずつ。最初は自己紹介からスタートして、問いに集中して話をします。しかも、まつぼっくり(トーキングオブジェ)を持った人しか話すことができない!というルールつきです。
 始めは緊張気味の空気感が漂っていたものの、話し合いが始まると、みなさんの表情が柔らかくなり、中には、笑い声が響くテーブルも出るほどで、いいアイデアが出やすいリラックスした空気感へと変化していきました。
 ひととおり話し合いが終ったら、全体共有の時間へ。どんなツアーができたか、いくつか発表いただきました。
・蔵の街路地裏ツアー
・吉田周辺田園ツアー
・川越農産物 軒先買い物ツアー
・地元の人しかいかない!桜の隠れ名所ツアー
・オリンピックゴルフ会場も体感できる 霞ヶ関自然観察ツアー
・着物で歩くよ 美人ツアー
・喜多院でラジオ体操を体験!川越古民家でむかし暮らし体験
・川越で川舟体験ツアー など
 これらのツアーは、詳細ルートも紹介いただきました。
 一人一人が知っている川越の街のよいところ。それを紹介しあうことで、よいところリストが増え、それらをつなぎ合わせることで、沢山のツアー案ができあがりました。
 かわごえカフェ2015では、参加者のみなさまに、「発見シート」を書いていただいています。参加してどんな印象だったか、着席したテーブルでどんなツアー案が企画されたかを記入いただき、回収しました。その内容を一部紹介します。

◆ツアー企画

  • 大学を拠点に農業の体験ツアーで、川越のめぐみを知り、農家の方とふれあうツアー
  • 体験型ツアー。例えば、山車の組み立てを体験する、寺・神社のすす払い、掃除体験をするなど
  • 2020年オリンピックに向けた自然観察ツアー
  • 霞ヶ関→鈴木園(お茶販売)→(中世の中心復活)河越館( 上戸小資料室)→御伊勢塚公園の桜見学→小畔川散策→霞ヶ関CC
  • 半日ツアー:着物→博物館、成田山の骨董市→自然豊かな(畑や田んぼがある)伊佐沼公園→昼ご飯(昼ご飯は川越名物)
  • 川越自然を楽しむツアー:木々や草花の名前を学んだり、野草や山菜なども摘んだりできる
  • 着物で廻る川越ツアー:ウェスタ川越→蔵造りの町並み(自分で着物に着替え)→寺(座禅体験)→市場(地産池消メニュー)→市民の森 着替え(着物をたたむ)
  • 川越 ジャズストリート、ジャズスポット巡り:ストリート、蔵里、お寺、神社でのライブショーなど。
  • 川越にある4大学:東洋大学、尚美学園大学、東邦音楽大学、東京国際大学の学生が町に出て市民、川越を訪れる人、外国人と交流とふれ合い。
  • 川越の自然環境との共存ツアー:①川越城跡周辺の史跡めぐり②寺院、神社めぐり③自然めぐり④河川にある堰、水路めぐり⑤赤間川の歴史をたどる
  • 伊佐沼でうどん、みそ造り体験を楽しむツアー
  • 島崎藤村他文学コース(佐久間旅館)
  • 数多いお寺で説教を聞くことを日常の子供たちのスケジュールに入れ、年に数回多人数の会にする。
  • タイムスリップツアー

◆かわごえカフェ2015に参加した感想

  • こういう様々な世代の方と話せる機会はあまりないので非常に有意義な時間となりました。
  • カフェの話し合いで盛り上がって、コースを決めるのは大変でした。
  • ワールドカフェという形式での対話で話がまとまるのかと感じましたが、意外にもまとまってふくらんでいくのがとても楽しかったです。
  • 今回参加して様々な人と会話することで、知らないことをたくさん知れた。地元の方が多く、昔の川越のことなど詳しく知れた。
  • みなさんの意見に共感するところが多く、一つの川越観があったような感じであった。
  • 様々な立場から様々な意見が聞けてよかったです。せっかくの出会いの機会と、これで終わりではなく、次につなげる方法をぜひ考えてください。

 参加してくださったみなさんからいただいた発見シートを見ると、およそ90名の参加者から出てくる川越のいい所は多種多様で、多くの気づき・発見があったようで、沢山のツアー案が企画されました。
 かわごえカフェそのものの感想の中にも、「せっかくの出会いの機会と、これで終わりではなく、次につなげる方法をぜひ考えてください」とあります。
 そうです!ここで終わりではなく、これを少しでも具現化するように、かわごえ環境ネットでは前進していきたいと思います。具体的にどのように前進していくか、今後理事会を含め、さまざまな場で検討をしていき、広報誌等を通じて進捗状況をお知らせしていきたいと思います。きっと、共に考え、共に形にしていく仲間を募集するときがくるかと思いますので、その時はどうぞ川越愛を抱くみなさんのお力を貸してください。
(飯島希)