【コラム】川越の「宝」をたずねて(15)仙波河岸史跡公園

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仙波河岸史跡公園案内図

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仙波河岸史跡公園案内図

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仙波河岸史跡公園案内図

コラム"川越の「宝」をたずねて"は、かわごえカフェ2019のテーマ、「川越(と周辺地域)の宝を掘りおこそう」で参加者のみなさんと作成した"川越のお宝マップ"の地点を紹介していくコラムです。

今月のお宝紹介は「仙波河岸史跡公園」

 かつて川越−江戸間の物資輸送に舟が使われていたころの仙波河岸の跡地に造られた公園です。

 この近くを流れる新河岸川の下流にはすでに江戸時代から新河岸川舟運による河岸場がいくつもありました。明治になり、新河岸川の最も上流に造った河岸場が「仙波河岸」です(明治2年運河開削に着手し明治12年完成)。しかし、1895(明治28)年には川越鉄道が開通、その11年後には川越電気鉄道が敷設、1914(大正3)年には東上鉄道が開通し、時代は陸運に変わっていきます。さらには、1910(明治43)年の関東平野の大洪水を機に始まった洪水対策の一環で、1920(大正9)年から新河岸川の改修が始まります。その結果、水量が減り、改修工事完了を迎えた1931(昭和6)年に発令された通船停止令によって300年余りの新河岸舟運は終焉を迎えました。その後、仙波河岸は一部埋め立てられ宅地化されたものの、船着場などは保存され、2004(平成16)年5月に「仙波河岸史跡公園」として開園しました。

 公園内には、河岸場跡の他にも仙波の滝や湿性地を回遊できるウッドデッキも整備され、自然観察も楽しめるようになっています。

 今では水と緑といった自然公園ですが、時間の流れを遡ると、明治期~令和期の5つもの時代をつないで河岸場の姿を残している公園はとても貴重な歴史公園とも言えますね。

(飯島希)

仙波河岸史跡公園へのアクセス

川越市仙波町4-21-2。東武東上線・JR「川越駅」東口より徒歩14分。

参考文献

斎藤貞夫:川越舟運、さきたま出版会(1987)