【コラム】かわごえ環境STYLE(3)最明寺の地域協力 フードパントリー

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最明寺のフードパントリーのようす

 川越はお寺の街と言っていいほど数が多く、60ほどのお寺があります。お寺は本来地域密着で地域に開かれ、市民に親しまれてきた場所でした。近年になって川越のお寺発の動きも少しずつ活発になってきた中、川越市小ケ谷にある「最明寺」の社会環境の取り組みについて紹介します。

 最明寺で定期的に行っているのが、困窮家庭に食材提供を実施している市民団体「川越子ども応援パントリー」に本堂の場所提供です。川越子ども応援パントリーは、川越市と連携をとり、市内の困窮家庭にご案内を直接届け、市内のお寺を会場にパントリー活動をしています。

 「フードパントリー」とは、市場で余剰となった食品をフードバンク、企業、農家などから譲り受け、食料を必要としている方に無償で配布する活動です。一方で「フードロス」を削減し、他方で困窮家庭の食糧事情を改善する、まさにSDGsの趣旨に沿った活動です。2020年3月、新型コロナウイルス流行拡大により全国一斉休校措置が始まると、困窮家庭からは「食費がもたない」「子どもの世話が一気に増えた」と悲鳴が上がりました。さらに非常事態宣言により企業活動の自粛が始まると、「仕事が減って収入が激減した」などの声も聞かれるようになりました。「川越子ども応援パントリー」では2020年3~4月初旬にかけ、緊急パントリーを3回開催、主にはひとり親で「児童扶養手当」受給家庭を中心に現在120家庭、家族構成員総数約400名に支援しています。現在は、川越市内の最明寺と本応寺の2か寺で交互に毎月1回開催しています。

 最明寺の千田副住職はこの活動に協力する意義として、「最明寺が関わる活動の全てに共通しているのは、お寺は前提として『地域のためにある施設』ということです。困っている人がいるのであれば手を差し伸べるべきだと思いました。」。

 最明寺の前段として、以前から、独自に「おてらおやつクラブ」に参加していたことも注目です。貧困問題に取り組みお寺の社会福祉活動として、お寺のお供え物等を、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にある家庭へ「おすそわけ」する活動です。こうした活動を続けていたこともあり、フードパントリーの協力依頼についても「二つ返事で了承しました。」と話します。

 最明寺のフードパントリーでは、毎回100家庭以上が集まり、お米や野菜、様々な冷凍食品等を提供しています。子どもたちを楽しませようと音楽家がボランティアで音楽演奏することもありました。千田さんは、「お寺は単なる場所貸しではなく、子どもたちにお寺を身近に感じてもらう未来の取り組みでも考えています。」。

 単に食材を配る、というだけではなく、「行くことが楽しみになる場」となるように様々な施策を今後も取り込んでいこうと計画をしています。今後はフードパントリー利用家庭中心に子どもの居場所+学習支援事業の展開にも協力していきます。                                                                                                                          

    (石川真)