【コラム】川越の自然をたずねて(90)三ツ又沼ビオトープ

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現在の様子

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三ツ又沼ビオトープの位置

 三ツ又沼ビオトープをご存知でしょうか。川越市、上尾市、川島町の境界にあるので見落とされそうな場所です。西には入間川、東には荒川という大河が流れています。その昔、荒川は上尾市浅間山南付近で流路を西に変え、入間川と合流しまさに「三ツ又」になっていました。そのため周辺住民は常に氾濫、洪水に悩まされていました。1932(昭和7)年ごろから入間川と荒川の合流点を付け替える工事が始まり、1954(昭和29)年ごろまでに合流点が現在のずっと南の上江橋付近に付け替えられました。昔の合流点にポツンと残ったのが三ツ又沼なのです。

 三ツ又沼の周辺は河川敷、田んぼなどで豊かな自然に恵まれています。この自然を守ってほしいという環境NGOや地域住民の要望で、河川敷内の一部を公有化して国(国土交通省荒川上流事務所)が整備して2001年4月、三ツ又沼ビオトープがオープンしました(総面積:13ha)。ここは水に恵まれていることから湿地性の生き物が多くみられます。2002年の調査では植物236種、鳥類53種、昆虫類434種、魚類18種、哺乳類5種、水生植物24種との記録があります。

 特徴的なのはハンノキで湿原や沼沢地に生息する高木で、過湿地において森林を形成する数少ない樹木です。ミドリシジミの食草でもありますので、ボランティア活動で植樹もされています。樹木層はヤナギ類、コナラ、クヌギ、ゴマギなど。ゴマギは河川敷などに生息しますが、近年は減少傾向で準絶滅危惧種になっています。草本はノウルシ、ハンゲショウ、タコノアシ、ミクリなど。鳥類は広大な河川域を舞うタカ類、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウなど。水辺のカモ類、カイツブリ、カワセミ、セッカなど。哺乳類では希少なカヤネズミ、イタチなど。

 開園から20年ほどになり、変化も現れています。川の流路からは分断されているので、次第に乾燥化してきて、植生が変化している。外来種(オオブタクサ、セイタカアワダチソウ)が増えてきた。2019年の台風で全域が浸水し、木道が一部流失したなどの被害。沼の対岸にあるハチクが花を付け、全枯れしたなど。

 このビオトープの保全・管理はパートナーシップ型のボランティア活動で支えられています。荒川上流事務所が事務局となり、市民団体、環境NGO、専門家、地元自治会などで協議しながら進めているそうです。個人でも参加できますのでお問い合わせください。(荒川上流河川事務所 Tel.049-220-0145 河川環境課)       (賀登環)

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木道

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6/29にかわごえ環境ネット会員が訪れる

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そのときのコムラサキ