【報告】会員の活動  無農薬田んぼで思うこと NPO法人かわごえ里山イニシアチブ

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2019年秋、開墾直後の様子

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2020年6月上旬、田植え

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2020年9月、稲刈り

 ほぼ10年間休耕田だったという笠幡の田んぼを今年開墾して復活させたかわごえ里山の若き会員がいる。高梨農園やかわごえ里山イニシアチブも協力しての初めてのお米作りだったが、ほぼ1人で頑張って栽培し、その収穫量が1.5反(約500坪)で8.5俵(510㎏)との知らせを聞いた。なんと1反当たり5.5俵(330kg)である。しかも、成長途中の稲を見に行ったが雑草がほとんど見当たらない。農薬も化学肥料も一切使っていない。収穫を手伝ったベテラン農家の方に「肥料やりすぎだよ!」と言われ「無肥料ですよ」と言ったらびっくりしていたらしい。

 通常、慣行農法で農薬や化学肥料を使う場合、6俵(300kg)からせいぜい7俵(420kg)である。かわごえ里山の田んぼでは、緑肥としてストロベリーキャンドルを使うが、これまで1反当たり5.5俵が最大で、平均4.5俵である。ほぼ10年間耕作されなかった田んぼということを考えると、いきなり5.5俵とは驚異的な数字である、と共に自然回復力というか土壌の治癒力に感銘を受けた。

 こういう事実を見ると、人間の都合で使う農薬や化学肥料は何なのだろうと思う。

 昨年開催した印鑰智哉(いんやくともや)氏の「いのちを守る種子(たね)の話~食、健康、環境とのつながりを考える~」の講演会の話を思い出した(本紙2019年9月号に講演内容投稿)。

 その中で「地球は微生物の星として生まれ、微生物と植物との共生で土壌が作られ生命が生存できます。植物の周辺に集まる微生物は、植物の根の周りに根と似た根っこ(菌根菌糸)を作り、病原菌から植物を守ります。土壌は、最大の炭素の貯蔵庫で、大量の炭素を吸収できます。化学肥料を投入することで、植物は土中に炭水化物を放出しなくなり、土中の微生物の活動が不活性化し、共生関係は衰えます。植物は病虫害に弱くなり、土壌は水を保てなくなり、土壌が流出しやすくなります。」

 まさしくこのことを証明するようなできごとであった。何はともあれ「おめでとう」。

(増田純一)